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心理学用語のなかに「パーソナル・スペース」という有名な言葉があります。 これは、コミュニケーションをとる相手が自分に近づくことを許せる、自分の周囲の物理的領域(距離感)や精神敵領域を指します。要は物理的・精神的縄張りのことです。 縄張りですから、ここに他人が侵入してくると、不快に感じて防衛本能が働いたりします。 逆に親しい相手、たとえば友人や恋人、家族など、ごく親しい人がその縄張りに入ってきても不快に感じることはなく、容易に受け入れることができます。 あなたも経験があるように、電車に乗って空いた座席に座ろうとするとき、できるだけ人から離れて座ろうとするのではないでしょうか。これがパーソナル・スペース、要は自分が許せる領域を保とうとする働きなのです。 これは、上司と部下との精神的距離にも通用できます。 よく上司の中には、仕事中であっても、飲み会の席であっても、すぐに家庭のことや家族のことを聞いてきたり、あつかましい上司になると、結婚した経緯や妻の出身地まで尋ねる人もいます。 そのくせ、自分はほとんどプライベートのことに触れないのです。 こんな上司の行動は、精神的なパーソナル・スペースに土足で侵入してきたようなものですから、普通の人は、不快感を示したり嫌悪感を抱いたりするのです。 ただ飲み会の席などで聞かれたような場合には、「課長とは親密な話ができるなあ」とか「プライベートなことまで聞かれるなんて、好意をもたれている証拠だ」などと思ってしまうこともあるでしょう。 たしかに、悪い感情を持っているとはいえませんが、仕事の関係や人間関係においては、心の奥底で「部下を支配したい」という強い欲求のあらわれで権威主義的な人です。 もともと部下の精神的領域にズカズカと踏み込んでくるのは、すでに自分が優位に立っていることを自覚し、また上下関係を明らかに認識した行動なのです。 もし、あなたが部下の立場なら、上司のプライベートを聞くことなどできないでしょうが、それはお互いの上下関係を認識しているから、人の精神的領域に入れないのです。 これとは反対に、会議の打ち上げなどで飲み会へ行くと、気分を良くした上司から酔った勢いで「オレはみんなを信頼しているから、これからもいっしょに頑張ろうな」などと口走ることがありますね。 これは上司としての立場からではなく、同僚で同士であるというような意味合いで「オレ」という言葉を使っていますので、上司のほうがら部下との精神的距離を縮めようと努力しています。 こういう上司は信頼してもいいでしょう。 |
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